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そもそも尿路感染症ってなに?―種類と症状、泌尿器科でできること

2025.06.19

はじめに

はじめに

皆さんは「尿路感染症」という言葉を耳にしたことがありますか?

実は、風邪と同じくらい身近でありながら、軽く見てしまいがちな病気のひとつです。

放置して悪化すれば腎臓にまで炎症が広がることもあり、特に高齢の方や持病をお持ちの方にとっては注意が必要です。
この記事では、尿路感染症の種類とその特徴、症状、そして日常生活で気をつけたい予防策について、泌尿器科専門医の視点からわかりやすくご紹介します。

尿路感染症とは?

「尿路感染症」とは、尿の通り道である「尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)」に細菌が感染する病気の総称です。
感染部位によって呼び名が異なり、それぞれ症状や重症度も異なります。

尿路感染症の主な種類と症状

① 膀胱炎(ぼうこうえん)

尿路感染症の中で最もよく見られるタイプです。女性に多く、特に若い女性や閉経後の方に多く見られます。

• 主な症状:排尿時の痛み(しみるような痛み)、頻尿、残尿感、下腹部の不快感
• 発熱はほとんどありませんが、放置すると腎盂腎炎に進行することもあります。

② 尿道炎(にょうどうえん)

主に性感染症(クラミジア、淋菌など)が原因で起こる尿道の感染です。男性に多くみられます。

• 主な症状:排尿時の灼熱感、膿のようなおりもの、かゆみ
• 女性ではあまり症状が目立たないこともあります。

③ 腎盂腎炎(じんうじんえん)

膀胱から上へと細菌がのぼり、腎臓の中まで炎症が及んだ状態です。高熱や背中の痛みが特徴で、早急な治療が必要です。

• 主な症状:高熱(38℃以上)、寒気、背部痛、吐き気
• 放置すると腎機能が損なわれることがあります。

④ 前立腺炎(ぜんりつせんえん)

男性特有の感染症で、尿道を通って前立腺に細菌が侵入し炎症を起こします。

• 主な症状:排尿痛、頻尿、会陰部の違和感、発熱
• 慢性化すると長期的な排尿トラブルの原因になることもあります。

なぜ感染するの? 尿路感染の原因とリスク

多くの場合、原因は大腸菌などの常在菌です。尿道から膀胱へと侵入し、繁殖することで感染を引き起こします。

感染しやすくなる状況

• 水分摂取不足(尿が濃くなり細菌が繁殖しやすい)
• 排尿を我慢する習慣
• 性行為後の洗浄不足
• 尿道カテーテルの留置
• 糖尿病や免疫力低下状態

泌尿器科でできること

尿路感染症が疑われる場合、泌尿器科では以下のような検査や治療を行います。

尿検査:白血球、細菌の有無を調べる基本検査
培養検査:どの細菌が原因か特定し、最適な抗菌薬を選定
超音波検査:腎臓や膀胱の状態を確認
治療:抗生物質の内服や点滴治療が中心です

症状が軽くても、適切な抗菌薬を選ぶことが重要であり、自己判断で市販薬に頼ると悪化することもあります。

予防のための5つのポイント

❶ こまめな水分補給

尿量を増やして細菌を洗い流しましょう。

❷ 排尿は我慢しない

尿が長時間膀胱にとどまると感染リスクが高まります。

❸ 性行為後の排尿や洗浄

特に女性は尿道が短く、感染しやすいため注意しましょう。

❹ トイレットペーパーの拭き方(前から後ろへ)

菌の逆流を防ぎます。

❺ 下着やナプキンを清潔に保つ

蒸れた環境は菌の温床になります。

泌尿器科専門医に相談すべきタイミングとは?

「少し痛いけど、我慢できるから…」と自己判断で放置するのは危険です。
以下のような症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診してください。

• 排尿時の痛みが続く
• 発熱や腰の痛みがある
• 頻繁に膀胱炎を繰り返す
• 性感染症が心配
• 残尿感や違和感が長引いている

泌尿器科では、尿路感染症の早期発見・適切な治療に加え、再発予防の生活指導も行っています。

おわりに

おわりに

尿路感染症は「誰にでも起こりうる身近な病気」です。
しかし正しく対処すれば、再発も予防でき、日常生活に支障をきたすことはありません。
少しでも不安な症状がある場合は、我慢せずに泌尿器科を受診してください。
早めの対処が、健康な毎日への第一歩です。

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