
今回は「膀胱炎」について、特に女性に多い理由と、繰り返さないための再発防止策についてわかりやすく解説します。
膀胱炎は、泌尿器科で最もよく見られる感染症の一つです。
「トイレが近い」「排尿時にしみる」「残尿感がある」…そんな症状、あなたにも覚えがありませんか?
実はその違和感、膀胱炎かもしれません。
特に女性は生涯に一度は経験すると言われるほど膀胱炎になりやすい傾向があります。
「またか…」と我慢したり、市販薬で済ませたりすると、思わぬ再発や悪化を招くことも。
今回は、泌尿器科専門医として膀胱炎に悩む女性たちに知っておいてほしい知識と対策を、丁寧にお届けします。
膀胱炎とは?その原因と症状
膀胱炎は、膀胱の内側に細菌が入り込み、炎症を起こす病気です。
ほとんどの場合、大腸菌などの腸内細菌が尿道から侵入し、膀胱内で繁殖することが原因です。
主な症状は?
• 排尿時の痛み(しみるような感覚)
• 頻尿(トイレが近くなる)
• 残尿感(出し切れていない感じ)
• 下腹部の違和感や痛み
• 尿が濁っている、臭う
• 血尿(まれに見られる)
発熱がないのが一般的ですが、放っておくと腎盂腎炎に進行してしまうこともあります。
なぜ女性に多い?3つの理由
実は、膀胱炎は男性よりも圧倒的に女性に多い病気です。
その背景には、女性の身体的な特徴や生活習慣が関係しています。
① 尿道が短い
女性の尿道は、男性の約1/5ほどの長さ(約3〜4cm)しかありません。
そのため、肛門周囲の大腸菌などが尿道から膀胱に侵入しやすくなっています。
② 肛門と尿道口が近い
女性の解剖学的な構造上、尿道口と肛門の距離が短いため、腸内細菌が膀胱に届きやすい環境です。
③ 生理・性行為などの影響
生理中のナプキン使用や性行為後の清潔管理が不十分だと、感染リスクが上がります。
特に性行為後の膀胱炎(honeymoon cystitis)は、若い女性によく見られます。
再発しやすい人の特徴とは?
膀胱炎は「繰り返しやすい」のが厄介なポイントです。
中には「年に数回膀胱炎になります」という女性も珍しくありません。
再発の要因
• 排尿を我慢する習慣
• 水分摂取が少ない(尿量が少ない)
• 性行為後の排尿がない
• ストレスや疲れで免疫力が低下
• 更年期で膣や尿道粘膜が乾燥している(エストロゲン低下)
一度治っても、原因となる生活習慣がそのままだと再び感染してしまうのです。
自己判断は危険!膀胱炎を放置すると…
「ちょっとしみるだけだし…」「市販薬で何とかなるかな」と自己判断で済ませていませんか?
膀胱炎を放置すると、以下のようなリスクが生じます。
• 腎盂腎炎に進行し高熱が出る
• 慢性膀胱炎になり、治りにくくなる
• 日常生活に支障をきたす排尿障害
特に妊娠中や高齢者では重症化しやすく、注意が必要です。
少しでも違和感を感じたら、迷わず泌尿器科を受診しましょう。
膀胱炎を繰り返さないためにできる7つの習慣
膀胱炎の予防には、日常生活のちょっとした心がけが大切です。
以下に、泌尿器科専門医としておすすめする習慣をまとめました。
① こまめに水分補給(1日1.5〜2リットルを目安に)
尿量が増えることで細菌が膀胱から洗い流されやすくなります。
② トイレは我慢しない
尿が膀胱に長くとどまるほど、細菌が繁殖しやすくなります。
③ 性行為の前後に排尿・洗浄を行う
性交後の膀胱炎予防にとても効果的です。
④ ナプキンやおりものシートはこまめに交換
蒸れた環境は菌の温床になります。
⑤ 拭き方は前から後ろへ
肛門側の菌が尿道に入るのを防ぎます。
⑥ 下着は通気性の良い綿素材を選ぶ
ムレを防ぎ、清潔な状態を保ちやすくなります。
⑦ 疲れやストレスをためない
免疫力が落ちると膀胱の防御力も低下します。
泌尿器科での治療と相談のすすめ

膀胱炎が疑われた場合、泌尿器科では以下のような対応を行います。
• 尿検査で感染の有無を確認
• 必要に応じて細菌培養検査で原因菌を特定
• 適切な抗菌薬の処方
• 再発防止の生活指導や体質改善の提案
再発を繰り返す方には、排尿記録の活用や予防的抗菌薬の処方など、専門的な治療を提案することもあります。
「何科に行けばいいのかわからなかった」「婦人科だと思っていた」という方も多いのですが、膀胱炎の専門は泌尿器科です。
*当院は印西市初の腎・泌尿器科専門のクリニックです
恥ずかしがらずに、ぜひ一度ご相談ください。
おわりに
膀胱炎は、適切な対処と予防で再発を防ぐことができます。
女性にとってはとても身近な病気ですが、「よくあること」と軽視せず、しっかりケアしていくことが大切です。
泌尿器科は、膀胱炎の診断・治療・再発予防まで一貫してサポートできる専門の診療科です。
症状が軽いうちに受診すれば、治療もスムーズに進みます。
「また膀胱炎かも…」と感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの健康な毎日を守るお手伝いをいたします。