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旅行や外出先でのトイレ問題―感染を防ぐコツと応急処置

2025.08.28
旅行や外出先でのトイレ問題―感染を防ぐコツと応急処置

今回は、旅行や出張、外出中に気になるトイレ事情と尿路感染症の予防法、万一の応急処置についてお話しします。

「長時間移動でトイレを我慢したら膀胱炎になった」
「外のトイレが不衛生で、使いたくない」
「旅先で排尿トラブルが起きたけど、どこに相談していいかわからなかった」

そんな経験はありませんか?
楽しいはずの旅行やレジャー中に、膀胱炎や尿道炎などの尿路感染症を発症してしまう方は意外と多いのです。

この記事では、外出先での感染リスクを下げるコツと、症状が出たときの対処法を、泌尿器科専門医の立場からわかりやすくお伝えします。

なぜ旅行中に尿路感染が起こりやすいの?

旅行や長時間の外出では、普段とは違う環境・生活リズムになることで、尿路感染症のリスクが高まります。

主な原因は以下のようなものです

1.水分摂取の減少
 → 移動中はトイレが心配で水分を控えがちに。結果として尿が濃くなり、細菌が繁殖しやすくなります。

2.トイレを我慢する
 → 車中、飛行機、観光中などで排尿を長時間我慢することで、膀胱に菌がとどまりやすくなります。

3.公共トイレの衛生状態への不安
 → 不衛生に感じて使用をためらうことで、排尿回数が減少し感染リスクが上昇。

4.睡眠不足や疲労による免疫力低下
 → 体の抵抗力が下がると、通常なら防げる菌にも感染しやすくなります。

5.トイレ環境の変化による排尿リズムの乱れ
 → 便秘や排尿障害も間接的に感染リスクを高めます。

感染を防ぐ5つの予防ポイント

1. こまめに水分補給をする

→ 「トイレが近くなるから」と水分を控えるのは逆効果。
 尿量が少ないと菌が膀胱にたまりやすくなります。

• こまめに少量ずつ摂る(1回100〜150ml程度)
• 目安は1日1.5〜2リットル(汗をかく時期は多めに)

2. 無理にトイレを我慢しない

→ 出先であっても、尿意を感じたら我慢せず排尿しましょう。

• 出かける前にトイレの場所を確認
• 高速道路や観光地では早めに済ませておく
• 長距離移動では2〜3時間ごとのトイレ休憩を意識

3. 公共トイレの使い方を工夫する

→ 感染は「便座」よりも「自分の手」から起きることが多いです。

• 和式が不安定なら洋式を利用し、便座シートや除菌シートを活用
• 使用後は必ず丁寧に手洗いを

4. 疲れすぎない旅程を立てる

→ 過密スケジュールや深夜の移動は免疫力を下げます。

• 睡眠不足は膀胱炎の誘因になるため、早めの就寝を心がける
• 1日ごとに「ゆっくり過ごす日」を設けてリズムを整える

5. 体を冷やさない

→ 冷房の効いた車内や飛行機、薄着での移動には注意。

• 羽織れるものや腹巻き、ひざ掛けを常備
• 足首やお腹を冷やさない工夫を(特に女性は冷えに敏感)

もし旅行先で膀胱炎になってしまったら?

軽い症状(排尿時の違和感や頻尿)であれば、まずは以下を試してみましょう:

1.水をたくさん飲む(1〜2時間ごとに200ml目安)
2.排尿を我慢しない
3.下腹部を温める(カイロや温タオル)
4.激しい運動やアルコールは避け、体を休める

受診が必要な症状とは?

以下のような症状がある場合は、市販薬での対応では不十分です。
近くの泌尿器科を探して受診しましょう。

• 発熱(38℃以上)
• 背中やわき腹の痛み
• 吐き気・嘔吐・倦怠感
• 尿がまったく出ない
• 血尿が出た
• 数日経っても改善しない

おわりに

おわりに

旅行や外出先では、いつもと違う生活リズムや環境の中で、尿路感染症が起こりやすくなります。
でも、ほんの少しの工夫と意識で、そのリスクを大きく減らすことができます。

快適で楽しい旅を守るために、今回ご紹介した「感染予防のコツ」や「応急処置のポイント」を、ぜひご活用ください。

そして、「おかしいな」と感じたら、早めに泌尿器科を受診しましょう。

あなたの大切な日常と、旅の思い出を、私たちがしっかりサポートいたします。

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