こんにちは。今回は「膀胱癌(ぼうこうがん)」についてお話しします。
膀胱癌は、泌尿器科でよく見られるがんのひとつで、特に中高年の男性に多くみられる疾患です。
しかし、女性でも発症することがあり、早期発見と治療が非常に重要です。
膀胱癌ってどんな病気?
膀胱は尿を一時的にためておく袋のような臓器です。この膀胱の内側の粘膜にがん細胞ができるのが膀胱癌です。日本では毎年2万人以上が新たに診断されており、特に50歳以上の男性に多くみられます。
主な症状は?
膀胱癌の代表的な症状は「血尿」です。それも「痛みのない血尿」が特徴です。排尿時に痛みがないため、「ちょっと疲れているせいかな」と見過ごしてしまう方も少なくありません。また、頻尿(トイレが近くなる)、尿が出にくい、残尿感なども見られることがあります。
なぜ膀胱癌になるの?
膀胱癌の主な危険因子は「喫煙」です。タバコに含まれる発がん物質が腎臓を通って尿に排出される際、膀胱に長時間とどまることで粘膜を傷つけ、がん化を促進すると考えられています。また、化学物質を扱う職業の方(染料やゴム、印刷業など)もリスクが高いといわれています。
診断はどうするの?
膀胱癌の疑いがある場合、以下のような検査を行います。
(なるべく患者さんへの侵襲の少ない検査から順に行います)
• 尿検査・尿細胞診検査 (血尿やがん細胞の有無を確認)
• 腹部超音波検査(膀胱の形や腫瘍の有無を確認)
→癌が微小の際は確認できない可能性もあり、その際は膀胱鏡検査を勧めます
• 膀胱鏡検査(内視鏡で直接尿道〜膀胱の中を直接見る。局所麻酔で行います)
• CT検査(上部尿路(腎臓・尿管)含め膀胱以外の転移の有無の確認)
• MRI検査(膀胱癌の根の深さを確認します。表在性か筋層浸潤か)
特に膀胱鏡は重要で、直接目で見ることで診断の精度が高まります。
治療は?
治療法はがんの進行度によって異なります。
• 早期の膀胱癌(表在性):内視鏡手術(TUR-BT)でがんを削り取ります。再発予防のため、抗がん剤を膀胱に注入することもあります。
• 進行した膀胱癌(筋層浸潤性):膀胱を全摘する手術が必要になることもあります。その後、人工膀胱や尿路変更術などが行われます。
• 転移がある場合:抗がん剤や免疫療法が選択されます。
予防や早期発見のために
 禁煙が最も有効な予防策です。また、血尿が出た場合は自己判断せず、泌尿器科をすぐに受診してください。たとえ一度だけの血尿でも、がんのサインかもしれません。
