「なんとなく体調は普通だし、異常も感じないから性病なんて関係ない」
そう思っていませんか?
実は、多くの性感染症(STI)は自覚症状がないまま感染が進行することがあるため、「症状がない=大丈夫」とは言い切れないのです。
今回は、「無症状でも感染していることがある」という事実と、それによって生じるリスク、そして泌尿器科でできる検査や対応についてわかりやすくご紹介いたします。
性感染症の多くは“静かに進行する”
性感染症と聞くと、「発疹が出る」「おりものが増える」「痛みがある」といったはっきりした症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、実際には以下のように無症状のまま進行する感染症が多数あります。
主な無症候性感染が多い性感染症:
• クラミジア感染症:女性の7~8割、男性の5割以上が無症状
• 淋菌感染症:特に咽頭(のど)感染は症状がないケースが多い
• 梅毒:初期の症状(しこりや発疹)は自然に消えてしまうことがある
• HIV感染症:初期は風邪のような症状のみ、あるいは全くの無症状
• マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症:軽微な違和感だけで見逃されやすい
無症状でも体内では“確実に進行”している
症状が出ていないからといって、体の中で何も起こっていないわけではありません。
たとえば、クラミジア感染を放置すると、女性では卵管に炎症や癒着を起こし、不妊の原因になります。さらに、気づかないうちに他人に感染させてしまうリスクも無視できません。
• パートナーに感染→相手が重症化
• 妊婦が感染→出産時に赤ちゃんへ感染(クラミジア、梅毒など)
• HIVなどのウイルス性感染症→知らぬ間に他者にうつしてしまう
性感染症は“症状のある人だけの問題”ではないのです。
咽頭・肛門感染はさらに気づきにくい
近年、オーラルセックスやアナルセックスによる感染も増えています。
咽頭(のど)や肛門に感染しても、違和感や痛みがほとんどないことが多いため、自分では全く気づかないケースも。
咽頭クラミジア・咽頭淋菌は、放置すると周囲に広がりやすく、抗生物質が効きにくい耐性菌の原因にもなっています。
「無症状でも検査を受ける」ことがスタンダードに
欧米では、「無症状でも定期的に検査を受ける」ことがすでに一般的です。
泌尿器科では、以下のような検査が無症状の方でも受けられます:
• 尿検査:クラミジア・淋菌
• 血液検査:梅毒・HIV・B型肝炎・C型肝炎
*当院では上記は外注しますので結果は後日となります
自分を守る=大切な人を守る
性感染症の最大の怖さは、知らないうちに誰かを傷つけてしまう可能性があるということです。
たとえば、こんなケースがありました:
「私は症状がなかったけど、彼女が婦人科でクラミジアと診断されて…」
「なぜかパートナーが精子に異常が出て、不妊検査で感染が判明した」
こうしたケースは決して珍しくありません。
症状がないからこそ、定期的な検査がとても大切なのです。
泌尿器科でできること
当院では、無症状の方に対しても以下のような対応を行っています:
• プライバシーに配慮した検査(当院では名前でなく番号で呼びます)
• 男女問わず、性感染症に関する検査と治療
• パートナー同伴での受診も可能
• 結婚前・妊活前のブライダルチェック対応(自由診療)
• 希望があれば、必要な範囲だけ検査するカスタムプランも可能
「少し気になってきた…」という方、ぜひ一度ご相談ください。
検査を受けることは、自分自身とパートナーを大切にする行動です。
まとめ:「大丈夫」は、検査でしか確認できません
• 性感染症は無症状でも感染していることがある
• 放置すると不妊・重症化・パートナーへの感染など多くのリスクに
• 咽頭や肛門の感染も自覚しにくく広がりやすい
• 定期的な検査が自分と大切な人の健康を守る第一歩
• 泌尿器科では症状の有無にかかわらず検査・治療が可能
「気になるけど、症状ないし……」
そんなときこそ、一歩踏み出してみてください。
