冬の寒さが厳しくなると、「最近、トイレが近い気がする」「夜中に何度も起きてしまう」といった排尿トラブルでお悩みの方が多くなります。寒さが頻尿を引き起こすのは、実は多くの方に共通する現象です。冬場に頻尿が増える理由や、その対策についてわかりやすく解説いたします。
寒さがもたらす膀胱の変化
冬場は外気温が低く、体は体温を逃がさないよう血管を収縮させ、血圧を上げる働きが強くなります。すると、交感神経が優位になり、膀胱の筋肉が収縮しやすくなるため、トイレが近くなるのです。
また、暖房のきいた室内から外に出たときの寒暖差が刺激となり、膀胱が敏感になることもあります。これが「寒冷刺激」と呼ばれるもので、冬場の頻尿の大きな要因です。
夜間頻尿の悩みも増える季節
冬になると夜間の頻尿(夜間頻尿)に悩む方も増えます。夜間頻尿とは、眠っている間に1回以上トイレに起きる状態を指します。高齢になるほど起こりやすい症状ですが、寒さが引き金となって若い世代でも増えることがあります。
寒さによって手足が冷え、血流が腎臓に集まると、尿の生成量が増えます。さらに、寒さで交感神経が刺激されると、膀胱が収縮しやすくなり、夜中に尿意を感じて目が覚めてしまうのです。
夜間頻尿は睡眠不足につながり、日中の疲れや集中力低下、転倒リスクの増加など、生活の質を大きく損ないます。したがって、適切なケアが必要です。
水分の摂り方も関係している?
「トイレが近いなら水分を控えたほうがいいのでは?」と考える方も多いと思います。確かに、寝る前に大量に水分を摂ると夜間頻尿が悪化することがありますが、逆に水分不足も問題です。
冬場は乾燥しやすく、気づかないうちに体内の水分が奪われます。すると、尿が濃くなり、膀胱が刺激されやすくなることがあります。日中はこまめに水分補給をし、夜は寝る1~2時間前から少しずつ摂取を減らすのが理想的です。
生活習慣でできる対策
冬場の頻尿対策として、以下のポイントを意識しましょう。
① 体を冷やさない工夫を
防寒対策をしっかりと行い、特に腰やお腹周りを温めましょう。外出時は腹巻きやカイロを活用し、室内では足元の冷えにも注意しましょう。
② カフェインやアルコールの摂取を控える
カフェイン(コーヒー・お茶)やアルコールには利尿作用があるため、頻尿を悪化させることがあります。夕方以降の摂取はなるべく控えるようにしましょう。
③ 排尿日誌をつける
1日の尿の回数や量、夜間のトイレ回数をメモしてみてください。これを排尿日誌と言いますが、実際の外来診療で患者さんに実際に排尿日誌をつけていただくことで、日常での排尿状況がわかるため診断や治療の参考になります。
④ 定期的な運動で血流を良くする
冬場は運動不足になりがちです。軽いウォーキングやストレッチを習慣にすると、血流が良くなり膀胱の働きも整います。
頻尿の裏に病気が隠れている場合も
寒さが原因の頻尿は、生活習慣の改善で落ち着くことが多いですが、頻尿の裏には以下のような病気が隠れていることもあります。
• 過活動膀胱
• 前立腺肥大症(男性)
• 糖尿病
• 膀胱炎
これらの病気では、単なる寒さだけではない症状(排尿時の痛み、尿が濁る、血尿、排尿後の残尿感など)を伴うことがあります。症状が続く場合や生活改善で良くならない場合は、泌尿器科での検査を受けることをおすすめします。
まとめ
冬の寒さは膀胱に負担をかけやすく、頻尿や夜間頻尿の原因になります。体を冷やさない工夫や水分補給、生活習慣の見直しで症状が改善することも多いですが、隠れた病気がないか一度専門医に相談してみましょう。
当院では、冬場の頻尿や排尿トラブルについても、丁寧な診療とわかりやすい説明を心がけています。気になる症状があれば、ぜひご相談ください。
