「最近、おしっこが出にくい…」「何度もトイレに行くのに、すっきりしない…」
このようなお悩みを抱えていませんか?
その症状、前立腺肥大症が関係しているかもしれません。
前立腺肥大症は、中高年男性に非常に多い排尿トラブルの原因です。
今回は、この前立腺肥大症について、
原因・症状・検査・治療法まで、わかりやすく解説いたします。
前立腺ってどこにあるの?
まず、前立腺とは、男性特有の臓器で、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在しています。
前立腺は精液の一部をつくる働きがあり、若い頃はクルミ大(約15g)ほどの大きさですが、年齢とともに徐々に大きくなる傾向があります。
この「肥大」した前立腺が尿道を圧迫することで、排尿のトラブルを引き起こすのが前立腺肥大症です。
こんな症状があれば要注意
前立腺肥大症によって起こる排尿トラブルは、以下のようなものがあります:
排尿困難(出にくい)
• 排尿が始まるまで時間がかかる(尿意があるのに出ない)
• おしっこの勢いが弱く、途切れ途切れになる
• 排尿に力を入れないと出てこない
残尿感(出しきれない)
• 排尿後も膀胱に尿が残っているような感じがする
• トイレを出た直後にまた行きたくなる
頻尿・夜間頻尿
• 日中に何度もトイレに行く
• 夜に2回以上起きてトイレに行く
切迫感・尿漏れ
• 急に我慢できない尿意が来て漏れてしまう
• 下着が湿っていることがある
これらの症状は「年のせい」と思いがちですが、前立腺の肥大による物理的な圧迫が原因のことが多く、きちんと治療すれば改善できるケースが多々あります。
なぜ肥大するのか?原因は?
前立腺肥大症は、加齢に伴う男性ホルモンのバランス変化が主な原因とされています。
• テストステロン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)の比率変化
• 前立腺内の細胞が増殖しやすくなる
• 遺伝的要因、生活習慣(高脂肪食・肥満)なども影響
50代以降から増え始め、60代で約50%、70代で70%以上の男性に前立腺肥大がみられるといわれています。
前立腺肥大症と間違えやすい病気
排尿のトラブルを引き起こす疾患には、前立腺肥大症以外にも以下のようなものがあります:
• 前立腺がん:初期は無症状でも、進行すると同様の排尿障害が出現
• 膀胱炎・尿道炎:炎症による刺激で頻尿・排尿痛が起こる
• 神経因性膀胱:糖尿病や脳卒中の後遺症で排尿がうまくいかない
自己判断は危険ですので、専門の泌尿器科での診断が不可欠です。
泌尿器科での検査方法
当クリニックでは、以下のような検査を行い、前立腺肥大症かどうかを正確に診断します。
🔍 主な検査内容
• 問診・症状チェックシート(IPSS):症状の程度を点数化
• 超音波検査(エコー):前立腺の大きさ・残尿量の評価
• 尿検査・血液検査:炎症や腎機能、PSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)を確認
• 尿流測定検査(ウロフロメトリー):排尿の勢いや時間を計測
※検査は痛みも少なく、ほとんどが外来で短時間に行えます。
治療法:症状と前立腺の大きさで決まります
治療の基本は、症状の程度と前立腺の大きさに応じた個別対応です。
薬物療法(まずはここから)
• α1遮断薬:尿道の筋肉を緩めて、排尿しやすくする
• 5α還元酵素阻害薬:前立腺の大きさを徐々に縮小させる
• 抗コリン薬・β3作動薬:頻尿・尿意切迫感の改善に使うことも
ほとんどの患者さんが、薬の服用で大きく改善します。
手術療法(薬で改善しない場合)
• TURP(経尿道的前立腺切除術):肥大した部分を内視鏡で削り取る
• HoLEP(レーザーによる核出術):出血が少ないのが特徴
最近では上記に加えて前立腺レーザー蒸散術(PVP)・経尿道的前立腺吊り上げ術(UroLift)・経尿道的水蒸気治療(Rezum)など、いずれも数日の入院で済む低侵襲な手術で、安全性も高いです。
放置してはいけない理由
前立腺肥大症を放っておくと、以下のような合併症につながる恐れがあります:
• 尿閉(尿がまったく出なくなる状態)
• 膀胱機能の低下(萎縮)
• 腎機能の障害(長期間の残尿による逆流)
• 尿路感染症のリスク増加
「ちょっと気になるけど大したことない」では済まされない場合もあるため、早期の受診と治療がカギとなります。
まとめ:出にくさ・出しきれなさは治療できる症状です
• 中高年男性によくある排尿障害の原因=前立腺肥大症
• 放置すると生活の質が下がるだけでなく、合併症のリスクも
• 泌尿器科では、負担の少ない検査と治療法がそろっています
• 恥ずかしがらず、気になる症状があれば早めの受診を
「歳のせいだから…」と我慢せず、
健康な排尿と安心できる毎日のために、一度ご相談ください。
