執筆者
いんざい腎泌尿器科クリニック
院長 鵜木 勉
専門資格
- 医学博士
- 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医
- 日本泌尿器科学会 泌尿器科指導医
など
腎臓は本来、血液から不要なものをろ過して尿として体外へ排出しつつ、必要な成分は体に戻す働きを担っています。たんぱく尿とは、本来体に留めておくべき“たんぱく質”が尿に混ざってしまう状態を指します。
健康な人でも、1日150mg程度のたんぱくが尿に出ることがありますが、それ以上が持続すると「病的なたんぱく尿」と判断されます。
健診や健康診断の尿検査(尿試験紙)で指摘されて初めて気づくことが多いです。
たんぱく尿は、その持続性によって3つに分類されます。原因や経過、対応も異なるため、順に見ていきましょう。
| 状況 | 激しい運動後や発熱時、ストレスが強い時などに一時的に尿にたんぱくが混ざります。 |
|---|---|
| 特徴 | 再検査で陰性になれば、問題になることはほとんどありません。 |
| 状況 | 数回繰り返し尿検査をすると、陽性・陰性が時々入れ替わる状態。 |
|---|---|
| 特徴 | 多くは問題なく推移しますが、まれに軽い腎炎が隠れており、後に持続性に移る例もあるため、長期の観察が必要です。 |
| 状況 | 複数回の検査でも常に陽性が続く状態。 |
|---|---|
| 特徴 | 腎臓自体に障害がある可能性が高く、糸球体(しきゅうたい)あるいは尿細管(にょうさいかん)という部位に原因があると考えられます。特に糸球体性のたんぱく尿は、糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群などが関係することがあります。 |
持続性たんぱく尿がある場合には、より詳しく調べる必要があります。以下のような検査を組み合わせて原因と治療方針を診断します。
時間や条件を変えて数回行い、たんぱく尿が本当に持続しているか確認します。
尿の濃さや成分、赤血球などの有無を調べます。尿の中の赤血球が多い場合、他の病気の可能性もあります。
24時間の丸ごとの尿を集めて「1日何gのたんぱくが出ているか」を測定します。設備が整わない場合は「尿中たんぱく/クレアチニン比」でも推定できます。
腎機能(血清クレアチニン、尿素窒素)や電解質、アルブミン(血液中のたんぱく質)などをチェック。
腎臓や尿路の形や状態を画像で観察し、形態異常や腫瘍がないかを調べます。
糸球体に炎症がある場合、補体や抗核抗体などが参考になることがあります。
腎臓の利尿機能を知るうえで大切な指標です
| 適応例 | 1日たんぱく尿が0.5g以上、あるいは症状と検査結果にズレがある場合など。 |
|---|---|
| 目的 | 糸球体の病変形態や程度を顕微鏡で調べ、ネフローゼ症候群や慢性糸球体腎炎など、原因疾患を確定します。 |
step01
たんぱく尿が軽度であり、再検査で改善傾向が見られる場合は、しばらく定期的に検尿や血液検査を行います。目標は疾患の進行を早期に発見・対応することです。
step02
血圧が高いと腎臓への負担が大きくなるため、降圧薬が必要な場合があります。
生活習慣病の有無によっては、食事(塩分制限やタンパク制限)、運動、体重管理が重要です。
step03
持続性たんぱく尿(特に1日0.5g以上の場合)や、腎機能の低下がみられる場合は、早めの腎臓内科専門医紹介が推奨されます。
step04
1日尿タンパク3.5g以上、血清アルブミン3.0g/dL以下などが特徴。浮腫や高脂血症を伴うこともあります。
原因となる病気によって治療は異なります。診断のため腎生検が行われることも多いです。
1回だけの陽性では判断が確定しにくいため、数回の検尿が必要です。
運動直後や風邪の時に出るたんぱく尿は自然に改善することがほとんどです。
症状がなくても、尿検査でたんぱく尿が続いている場合は、早めに泌尿器科や腎臓内科を受診することをおすすめします。
高血圧や糖尿病、肥満などがあると腎臓に負担がかかりやすくなるので、塩分やたんぱく質の摂取量、適度な運動習慣などを整えましょう。
たんぱく尿が続くかどうか、腎機能に変化がないかどうか。定期的なチェックを無理なく続けることで、早期発見や介入が可能になります。