尿失禁

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はじめに

尿失禁は、年齢や性別を問わず、多くの方が経験する可能性のある症状です。日常生活に支障をきたすこともありますが、適切な治療や予防策を講じることで改善が期待できます。

尿失禁とは?

尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態を指します。日本泌尿器科学会のガイドラインによれば、尿失禁は以下のように分類されます。

1. 腹圧性尿失禁

咳やくしゃみ、重い物を持ち上げたときなど、お腹に力が入った際に尿が漏れるタイプです。骨盤底筋の緩みや出産、加齢などが原因とされています。

2. 切迫性尿失禁

急に強い尿意を感じ、トイレに間に合わずに漏れてしまうタイプです。過活動膀胱が関与していることが多く、神経の異常や加齢が原因とされています。

3. 混合性尿失禁

腹圧性と切迫性の両方の症状が見られるタイプです。特に女性に多く見られます。

4. 溢流性尿失禁

膀胱に尿がたまりすぎて、少しずつ漏れてしまうタイプです。前立腺肥大や神経の障害が原因とされています。

5. 機能性尿失禁

身体的・精神的な理由でトイレに間に合わずに漏れてしまうタイプです。認知症や運動障害などが関与しています。

尿失禁の原因

尿失禁の原因は多岐にわたりますが、主な要因として以下が挙げられます。

骨盤底筋の弱化 出産や加齢により、骨盤底筋が弱くなることで尿道の締まりが悪くなります。
神経の異常 脳や脊髄、末梢神経の障害により、膀胱や尿道の機能が低下します。
前立腺肥大 男性に多く、尿道が圧迫されることで排尿障害が起こります。
薬剤の副作用 利尿剤や降圧剤など、一部の薬剤が尿失禁を引き起こすことがあります。
生活習慣 肥満や便秘、喫煙などがリスクを高めます。

診断と検査

尿失禁の診断には、以下のような方法が用いられます。

問診 症状の詳細や生活習慣、既往歴などを確認します。
排尿日誌 尿の回数や量、漏れた状況などを記録します。
尿検査 感染症や血尿の有無を調べます。
超音波検査 膀胱や腎臓の状態を確認します。
尿流測定 尿の勢いや排尿時間を測定します。
膀胱鏡検査 膀胱内を直接観察します。

治療法

尿失禁の治療は、原因や症状の程度に応じて選択されます。

1. 保存的治療

骨盤底筋トレーニング 骨盤底筋を鍛えることで、尿道の締まりを改善します。
生活習慣の改善 体重管理や便秘の解消、喫煙の中止などが効果的です。
膀胱訓練 排尿間隔を延ばす訓練を行います。

2. 薬物療法

抗コリン薬 膀胱の過活動を抑える薬です。
β3アドレナリン受容体作動薬 膀胱の容量を増やす薬です。
エストロゲン製剤 女性ホルモンの補充により、尿道の機能を改善します。

3. 補助器具の使用

ペッサリー 腟内に挿入する器具で、膀胱や子宮の下垂を防ぎます。
吸水パッドやパンツ 漏れた尿を吸収し、衣服の汚れを防ぎます。

4. 手術療法

保存的治療や薬物療法で効果が得られない場合、手術が検討されます。主な手術法には以下があります。

スリング手術 尿道の下にテープを設置し、尿道を支える方法です。
膀胱頸部懸吊術 膀胱の出口を引き上げて固定する方法です。
人工尿道括約筋の装着 男性の重度の尿失禁に対して行われます。

予防と日常生活の工夫

尿失禁を予防するためには、以下のような生活習慣の見直しが有効です。

適度な運動 骨盤底筋を鍛える体操を継続的に行いましょう。
バランスの良い食事 便秘を防ぐために、食物繊維を多く含む食品を摂取しましょう。
水分摂取の調整 過剰な水分摂取は控え、適切な量を心がけましょう。
トイレの環境整備 夜間のトイレへの移動を安全にするため、照明や手すりの設置を検討しましょう。

まとめ

尿失禁は、多くの方が抱える悩みですが、適切な治療や生活習慣の改善により、症状の軽減や改善が期待できます。恥ずかしがらずに、早めに専門医と相談することが大切です。

院長 鵜木 勉

執筆者

いんざい腎泌尿器科クリニック
院長 鵜木 勉

専門資格

  • 医学博士
  • 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医
  • 日本泌尿器科学会 泌尿器科指導医

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